エストニアにあるソ連時代の収容所、アメリカにある結核患者のサナトリウム、大量の人間の骨とサソリに埋め尽くされたイタリアの廃教会、台湾にあるらい病患者のサナトリウムなどもティッセン氏の恐怖廃墟リストに名を連ねている。
また、ティッセン氏自身も気に入っているという「とっておき」の作品も送って頂いた。1つはブルガリアの「ブズルジャ・モニュメント」だ。ソ連時代に作られたバルカン山脈の峰に立つホールである。かなり老朽化しており、普通は外部からの見学しかできないが、ティッセン氏はその内部にある巨大なモザイク画を神秘的に写し出した。
中には廃墟とは思えない写真もある。廃墟となったフランスの城はまるで18世紀から時間が止まってしまったかのように、調度品が整っている。
アメリカの廃シアター、フランスの打ち捨てられた戦艦など、歴史の重みを感じさせる写真も多いが、その中に何だかよくわからない趣味の日本の廃ラブホテルも含まれているから笑ってしまう。SMと中世趣味のキッチュな融合がなんとも味わい深い。
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